私的好み研究所

地獄と極楽の違い―読むクスリ〈30〉 (文春文庫)

『読むクスリ』がどのジャンルに分類されるのかよくわからないのですが、『企業版ちょっといい話』
と宣伝されているところを見ると多分エッセー・随筆になると思います。

一時期『読むクスリ』をまとめて読んでいたのですが、いまから思えばその時は精神的に疲れていた
ので、知らずに『いい話』をもとめていたのだと思います。

『いい話』は基本的に読んでいて気分がよくなるので好きなのですが、どうしても情に訴えるものが
多いので、まとめて読むと少々食傷気味になります。

その点、『読むクスリ』は『企業版ちょっといい話』ということもあり、情に訴えるものは少なく、
まとめて読んでも疲れないです。

また取り上げる話題も幅広くて、色々な分野の世界を知ることができます。
『ちょっといい話』に心が和まされ、雑学も増えるという一石二鳥のお得な本です。

作者の上前淳一郎さんの簡潔で読みやすい文章は好きなのですが、何故か著書は『読むクスリ』だけ
しか読んだことがありません。

カリフォルニア物語 (1) (小学館文庫)

『カリフォルニア物語』は初めて読んだ吉田秋生さんの作品です。
舞台になっているニューヨークの雰囲気が非常によく出ていて読んでいて、自分があたかも
ニューヨークにいるような気分になりました。

主人公ヒースとお兄さんの関係が痛ましくて読んでいて辛かったです。

仲が良かった頃の幼き日のヒースとお兄さんのエピソードが作品全体の中でもっとも好きです。

吉田秋生さんは絵柄が大幅に変わる漫画家ですが、私は『カリフォルニア物語』の頃の絵柄が
一番好きです。

上方落語特選 大全集
上方落語特選 大全集

仁鶴さんは長らく私にとって落語家ではなく、タレントさんでした。
長年司会を務めておられるNHKの『バラエティー生活笑百科』の相談室長のイメージが
強かったからです。

それがたまたま本業の落語をCDで聴いてから、仁鶴さんは私の中で落語家さんになりました。
現在、『上方落語特選 笑福亭仁鶴大全集』の10枚組みを聴いています。

21作収録されている中で、3枚目の『湯屋番』が特にお気に入りです。
居候の若旦那が居候先から追い出されてお風呂屋さんで働くことになる話ですが、
能天気な若旦那の言動がとても面白いです。若旦那の妄想がどんどん広がっていく場面が
特に好きです。
気分が落ち込んだ時によく聴くのですが、いつも聴き終わった後には気分がよくなっています。

同じく妄想話というか嘘の話が主題の『鉄砲勇助』も好きです。どうも私は落語では妄想話が
好きなようです。

仁鶴さんの落語を聴くようになってから他の落語家さんの噺も聴くようになったのですが、
今のところ仁鶴さんの落語が私には最も合っています。ちなみに私は本題と同じ位最初の枕が
好きです。
たまに枕がないと非常にがっかりします。
『湯屋番』の枕は本題に上手く関連したもので、しかも面白くてよくできています。

日日平安 (新潮文庫)
日日平安 (新潮文庫)


『日日平安』は黒澤明さんの映画『椿三十郎』の原作です。

私は『椿三十郎』を見てから『日日平安』を読んだのですが、物語の骨格は同じ
であるものの、全く違う作品に感じられました。『椿三十郎』も面白かったのですが、
『日日平安』の方が私は好きです。

ただ、原作の『日日平安』に忠実に従って作っていれば『椿三十郎』のような面白さ
は出せなかったと思います。私が読んだ新潮文庫版に収録されている11編の中では
『ほたる放生』、『末っ子』、『橋の下』が好きです。

悪い男に騙されつづける女性の悲しさを描いた『ほたる放生』の物悲しさは読んでいて
とても辛いです。あまりにも辛いので部分的にしか読み返せません。

その点、『末っ子』は読後感のよい作品で何度も読み返しています。最後の主人公の
爽やかな選択が気に入っています。

『橋の下』はとてもよいラストで読み終えてから清々しい気持ちになれました。

山本周五郎さんの作品を読むと必ずしみじみとした気分にさせられます。

読もうと思いながらも機会がなくて未だに『さぶ』、『青べか物語』などの代表作を
読めずにいます。

いつか山本周五郎さんの作品を全て読破できたらと思っています。

がんばれ元気 (1) (小学館文庫)

『がんばれ元気』は好きなボクシング漫画の内の一つです。

『がんばれ元気』、『あしたのジョー』、『はじめの一歩』が私の中での
3大ボクシング漫画です。

キャラクターが魅力的な『あしたのジョー』、ボクシング技術に裏打ちされた
試合が面白い『はじめの一歩』、ストーリーがよく出来た『がんばれ元気』と
各作品にはそれぞれ特長があります。

『がんばれ元気』は主人公、堀口元気が夢に向かって寄り道をすることなく進ん
でいくという話の軸が最後までぶれずにストーリーが展開されたのがよかった
です。

魅力的なキャラクターも多いのですが、残念ながらボクシングの試合自体の
面白さは他の2作品に比べると落ちてしまいます。
試合自体よりも試合が始まるまでのストーリーの方が面白いことが多いです。

主人公元気とプロのリングでただ一人だけ2回対戦した海道卓は強烈な印象を
残したキャラクターで、彼のエピソードは作品の中でも異彩を放っていました。

『あしたのジョー』のように再評価があまりされていないのがとても残念です。

作者の小山ゆうさんの絵柄は『がんばれ元気』の頃が一番好きです。

Author:tetero
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